vol.3 長谷川三郎《蝶の軌跡》のイリュージョン|ABCコレクション・データベースのデザインに興味ある方にオススメのWebサイト
京都国立近代美術館では、見える・見えないに関わらず誰もが楽しめる作品鑑賞のあり方を探る「感覚をひらく―新たな美術鑑賞プログラム創造推進事業」を行っています。2020年度からは作家(Artist)、視覚に障害のある方(Blind)、学芸員(Curator)がそれぞれの専門性や感性・経験を生かして協働し、所蔵作品をテーマとする新たな鑑賞プログラムを開発する「ABCプロジェクト」に取り組んでいます。今回は第3弾として、長谷川三郎(1906-1957)が1937年に制作した《蝶の軌跡》を出発点に、抽象絵画の視覚だけに依らない鑑賞について考えます。今回のプロジェクトでは、中村裕太(A)、安原理恵(B)、松山沙樹(C)の3人が《蝶の軌跡》に向き合って言葉を交わし、図録や美術雑誌などの文献資料を読み合わせ、さらに動物行動学からチョウの飛ぶ道を検証していきました。そして、粘土やロープ、小豆などの素材を組み合わせることで、触れることで想像力が刺激される《蝶の軌跡》の触図を作り出していきました。このデータベースでは、その対話やワークを垣間見ることから《蝶の軌跡》のイリュージョンを体感することができます。本データベースは今後、さまざまな作品・資料を領域横断的に取り入れていくことで、より有機的で多層的な当館コレクションのネットワークを創造していきます。